平安建都以降、貴族や武家、そして裕福な町人の華やかで贅沢な衣生活を支えたのが、都の工人たちでした。
応仁の乱で京が一時灰燼に帰すことがあっても、工人たちはこうした苦難を乗り越え、新たな染織技術を次々に生み出して現代に至っています。しかしその間、京都の染織が一時期低迷することもありました。
昭和6年(1931年)、京都の染織業の振興を図るために行われたのが京都染織祭でした。本展覧会では、当時の京都の染織技術を結集して復元された、古墳時代から明治時代初期に亘る女性の衣服を展示して日本の女性の服装1500年をたどるとともに、文化学園服飾博物館所蔵の江戸時代後期から昭和時代初期の優品を通して、京都の染織技術の真髄を感じていただきたいと存じます。

 

 

 

 

 

 












第一部 移り変わる風俗
日本の衣服は、古墳、飛鳥〜奈良時代は、衣に裳という中国の影響を受けたスタイルでした。平安時代には十二単と呼ばれる唐衣裳装束に代表されるように日本独自の美意識と衣服様式が生まれました。鎌倉時代以降はきものの原型である小袖が衣服の主流になり、様々な染織技術が京都で開花しました。今回着装姿で展示される衣装は、埴輪や絵巻、現存する小袖などを参考に昭和6-8年の間に制作され、当時の京都の伝統的染織技術の粋を結集、古代から近代に至る女性服飾を再現したものです。
古墳時代 昭和6-8年
(公社)京都染織文化協会所蔵
鎌倉時代 昭和6-8年
(公社)京都染織文化協会所蔵
室町時代 昭和6-8年
(公社)京都染織文化協会所蔵
江戸時代 昭和6-8年
(公社)京都染織文化協会所蔵







問合せ先:公益社団法人京都染織文化協会
                                      〒600-8009京都府京都市下京区四条通室町東入函谷鉾町78番地
                                                            京都経済センター6階
                                         (075)353-1010/FAX(075)353-1013 bunka@fashion-kyoto.or.jp

第二部 京都の染織技術ここにあり─文化学園服飾博物館所蔵品
文化学園服飾博物館所蔵の江戸時代後期〜昭和時代初期の染織品の展示を通して、紋織物や摺箔、刺繍、友禅染、鹿の子絞りなど京都の染織技術の素晴らしさ、美しさを再認識します。
打掛(縹綾地梅樹春の七草模様打掛)江戸-明治時代・19世紀
三井家旧蔵(8月18日から展示)
文化学園服飾博物館所蔵
打掛(白綸子地御簾草花蝶模様打掛)(部分)
江戸〜明治時代・19世紀
三井家旧蔵(8月6日まで展示)
文化学園服飾博物館所蔵
帷子(白麻地滝枝垂桜模様帷子)
江戸時代・18世紀中頃
文化学園服飾博物館所蔵
唐織(紅地流水菊折枝模様唐織)
江戸時代・19世紀前半
(8月6日まで展示)
文化学園服飾博物館所蔵

 染織技法の紹介
きものに使われる染織技法はどのような方法で行われるのでしょう。唐織や鹿の子絞り、箔、刺繍や友禅など、染織技法に使われる道具や工程、時代裂と現代裂などを紹介するとともに、実演コーナーでは実際の制作の様子を見ていただけます。※実演の日時は「関連イベント」詳細をご覧下さい。
         京繍      疋田絞       描絵       金彩