<スタッフ紹介>

        北川学芸員とその助手

    

 

  

 

 

時代衣装の構成と使われた技術についてわかりやすくご説明します。素人撮影のため見辛い箇所があるかもしれませんが、なにとぞご容赦ください。

ご質問・ご要望はまで。

 

 

インターネットミニ染織講座

衣装復元制作・室町時代5・9号(織り)

4.織り

まずは機を織るための準備です。練緯を織って下さるのは、織元金重 田茂井康博さんです。織機にもともと繋がっていた経糸に、新たな糸を繋いでいく「経繋ぎ」という作業を行います。この作業は一本一本手で繋いでいくため、糸の本数によっては半日〜1日かかる大変な重労働。近年では織物の小ロット化が進み、反物の色や柄などを頻繁に変えて得意先の要望に答えることが日常化しているため、経繋ぎの作業も頻繁になり、高齢職人の負担を増加させています。
経繋ぎが完了すると筬入れ(筬通し)の作業です。筬入れとは経糸を織幅になるように通す作業。筬は経糸の太さや密度によって筬目(同じ間隔の隙間)が様々あり、糸の太さに合う筬を使用します。筬目の隙間と経糸とのバランスは、のちの織りの作業が円滑になるかどうかの重要なポイントにもなるため、筬の選択はとても重要で、長年の経験がものを言う作業と言えるでしょう。
練緯は経糸が生糸、緯糸が練糸の平織物です。生糸は蚕の糸そのもので、光沢はなくザラザラとした感触です。一方で練糸は、生糸に含まれるセリシンというタンパク質を除去した糸で、光沢が出て絹特有の手触りがあり、私たちが知っている絹製品はこれにあたります。


経繋ぎは新しい経糸と古い経糸を 一本ずつ結んで繋ぎ合わせる作業
筬入れ完了 新しい経糸

 

経糸の準備が出来ました。緯糸は27中(68デニール)の糸を練糸にして使用します。練糸は綛(かせ)の状態なので、次の工程の取扱いに適した形に巻き返すことが必要になってきます。機を織っていくためにはシャトルを用いるため、シャトルに収容する管(くだ)に緯糸を巻きます。シャトルをジャカード機に収め、いよいよ織りの作業です。織り方は基本的な平織りですが、経糸が非常に細いため切れやすく、作業は難航します。田茂井さん曰く、外気温度の影響を受けやすく、暖かい日は比較的順調に織り進むが、寒い日はなぜか糸が切れやすく全く織り進めない日もあったと言います。切れては繋ぎ、繋いでは織りを繰り返し、多くの時間と手間をかけて3反の練緯が完成しました。

 

 

 
綛(かせ)の緯糸 管(くだ)に巻く(動画)
緯糸を巻いた管をシャトルにセット シャトルを機にセットする
 
ジャカード機で織っていく 機織り(動画)
糸切れの跡 糸の節などを除去(節取り)
練緯完成(リンクは拡大生地) 3反完成

 

出来上がった練緯は、シャリシャリとした感触の薄い生地です。今後染色作業で熱湯に浸されることで経糸のセリシンが除去されていくことを見込み、生機のまま(織りあがったままの状態)納品されました。細い糸ゆえ糸切れに悩まされ、織るのには時間と根気が要り、田茂井さんには大変お手間をかけてしまいましたが、出来上がった生地は薄くて軽く独特の風合いがあり、現代でも夏着尺として通用する素敵なものでした。この生地をもって今後の段取りを協議する職人さんの打合せを行い、本格的に作業が進みます。

 

 



この日の工程は、

→新しい経糸と古い経糸を繋ぎ合わせる縦繋ぎを行う
→筬入れをして製織の準備
→緯糸を練糸にし、綛から管に巻き返す
→管をシャトルに入れ、製織
→織り上がった生地は、糸の節などを除去する節取りを行う
→完成


次は下絵の作業です。

 

 

 

 

 

 
 
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