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インターネットミニ染織講座

衣装復元制作プロジェクト(江戸時代初期6号)

 

■淡浅葱縮緬地柳桜草紙短冊文様振袖(江戸時代初期6号)

江戸時代初期6号「淡浅葱縮緬地柳桜草紙短冊文様振袖」は、寛永期以前より7月7日の七夕に京都で行われていた小町踊りの衣装として制作されました。この衣装は草紙模様・短冊模様を細かい筆遣いによる手描きで表現し、部分的に刺繡を施して立体感を表現しています。しかし生地の経年劣化により裂けや破れが生じており、展覧会等の衣装貸付では、平置きに限定して展示を行っています。
京都府機械・金属振興センター(京都府京丹後市)の協力を得て、今回も生地から制作していきます。

 

 

 

 

衣装の状況           

衣装実物は、制作から90年以上も経ち、色の退色のみならず生地の劣化によりところどころに破れが生じています。補修を行っても美観を損ねるだけでなく、更に新たな裂けに繋がる恐れがあります。さらに、衣装に使われている緻密な模様表現が出来る友禅職人は現代では激減し、色挿しに使う細い筆を作る職人も減少しています。この高度な友禅技法を用いた衣装を復元することが今後困難になる事が予想されるため、今回この着手に至りました。次の時代に残すため、江戸初期6号衣装の復元制作に取り組みます。


生地の退色 生地の裂け 生地の汚れ

 

1.生地の復元

この衣装に使われている生地は縮緬で、現代においてもきもの生地の主流になっています。縮緬は表面に細かいシボがある平織物で、撚りのない経糸に強い撚りをかけた緯糸をあわせて織り、精練によって糸が縮むことでシボが現れます。1mあたり約3,000回糸に撚りをかける作業は、古くは八丁撚糸機により行われてきました。江戸時代に確立した縮緬の技術は、現在も京都府丹後地方(丹後ちりめん)や滋賀県長浜地方(長浜ちりめん)で受け継がれています。今回も京都府京丹後市にある京都府機械・金属振興センター技術支援課 井澤一郎主任研究員の協力を得て、実物に使われている生地を分析し、生地の詳細を調査して頂いたところ、令和4年度から令和5年度にかけて制作した「江戸初期2号衣装」と同じく一越縮緬の組織に近いことがわかりました。


 

2.織元を探す

江戸初期2号衣装から引き続き、今回も川八工場(京丹後市弥栄町)さんが引き受けて下さることになりました。
衣装生地の復元制作がスタートします。

 

 

次は撚糸の工程です。 


 
 
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